建物構造によるマンション騒音リスクのチェック

マンションにおける騒音リスクを評価する上で最も基本的で重要なのは建物の構造です。このページではマンションの騒音リスクを評価する上でなぜ構造が重要なのかどのような点ををチェックするべきなのかといった点について解説をさせていただきます。

建物の構造は大きく三つに分けることができる

建物の構造は一般的に、大きく分けると RC造(鉄筋コンクリート構造)、 SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造) 、鉄骨造、木造の4種類に分けることができます。騒音リスクという側面では家そのリスクが低いのは RC造と SRC造、ついで鉄骨造、木造と続きます。つまり騒音リスクを回避したい場合は RC造や SRC造を選択する必要があります。

コンクリートは高い遮音/防音性能を有する

先に挙げた4種類の建物の構造の大きな違いは RC造 SRC造にはコンクリートが使用されているのに対して、他の構造はコンクリートを使用していないことです。 一般的に構造物の遮音性能(防音性能)は使用されている「素材の種類」とその「厚さ」によって決まりますがコンクリートは様々な素材の中で遮音性能が高い素材の一つとして知られています。コンクリートの遮音性能の高さはは、密度の高いこと(体積あたりの重さが重いこと)が関係しています 。

「コンクリートなら安心」というわけではない(素材の厚さも重要)

コンクリートが使用されていれば必ずしも安心というわけではありません。遮音性能は素材の種類だけでなくその厚さによっても影響を受けます。つまり薄いコンクリートであれば遮音性能は十分でないということです 。コンクリートの場合一般的には150 mm(15cm) 以上が望ましいとされ200 mm (20cm)あると安心できると言われています。

境界壁には別の材料が使用されていることもある

RC造であったとしても隣の部屋との境界には必ずしもコンクリートが使用されているとは限りません。例えば 乾式遮音壁や ALC パネルが使用されている場合があります。 障壁の場合は遮音等級を確認するとよいでしょう 。遮音等級は、一般的には D-55以上が良いとされています

同じ素材や厚さでも防音遮音性能が異なる場合がある

理論的には防音遮音性能は使用されている素材の組み合わせとその暑さによって決まりますが、実際には施工の技術や精度によってその能力は大きく変わります。従って「この素材が使用されているから問題ない」「この厚さが確保できているから問題ない」とは一概には言えないことに注意が必要です

床はコンクリートの厚みと仕上げ剤が重要

上下階の騒音については「 軽量衝撃音」と「 重量衝撃音」に分けることができます。重量衝撃音とは重いものを落とした時の「ドスン」と言った音で軽量衝撃音は 軽い物を落とした時の「コツン」といった音に代表される音です.。重量衝撃音はコンクリートの厚さによってその遮音性能が決まり軽量衝撃音は床表面の仕上げ(カーペットなのかフローリングなのか、フローリングだとすればどのような素材なのか等) によってその遮音性能が決まります。コンクリートの厚みは200 mm 以上が安心であるとされています。フローリングについては遮音性能の等級が 40以上あることが望ましいとされています。

具体的には何をチェックすればよいか 。内見内覧時にどこを見るか

上記のようなことを確認するために具体的には何を見れば良いのかついて誰にでも簡単にできる方法と専門知識が必要な方向に分けて説明いたします。

■ 誰でもできる方法

① 部屋の中で手を叩いてみる

手を叩いて音が跳ね返ってくることを確認しましょう。もし反響してくる音がほとんどない場合は音が外に漏れている可能性があります。音が外に漏れている可能性があるということは逆に外からの音も入ってきやすいと推定することができます。したがって音の跳ね返り・反響がある部屋ほど騒音リスクが低いと許可することができます。

② 壁をたたいてみる

指の関節などを使って壁を叩いてみましょう。分厚い壁の場合は比較的低い音がするのに対して、薄い壁の場合はコツコツと空洞のような音がします。同じようにして密度の高い高密度の壁の場合は低い音が、密度の低い素材の場合は高い音がすることを利用して壁に使用されている素材を推定することも可能です。いずれにしても壁を叩いた時に高い音がする場合は騒音リスクが高くなります。

③ 軽くジャンプしてみる

床の上で軽くジャンプをしてみてその音が壁に伝わり、響くかどうかを確認します。十分に床が分厚く遮音性能が高い場合ぐらつきがなく 安定感が高く、一方で床が薄い場合などは自分側の部屋にも音が響きます。

■専門知識が必要な方法

④図面、設計図を確認する
対象のマンションの図面やパンフレットを請求しましょう。多くの場合図面を確認することによって壁や床の厚さ、使用されている素材が明記されているでしょう。 一部のマンションではホームページでも情報を公開しているので併せて確認するようにしましょう。遮音等級のグレードや性能評価の結果なども確認することができれば安心です。一方で中古の物件や賃貸の場合はマンションの図面が手に入らないことも少なくありません。そういった場合は次のような方法でそのリスクを評価する必要があります。

⑤コンクリートの厚さを測定する

1.外壁、隣の部屋との間隔などから継続計算する
ベランダでの外部側壁の厚さ測定、玄関での共用部側壁の厚さ測定、隣の部屋との間隔幅測定を利用した隣の部屋との壁の厚さ類推など様々な方法によって壁の厚さを測定類推することが可能です。ただしこの方法はあくまで類推であり、場所ごとに壁厚が異なる場合などは実際の厚さとは食い違う場合があります。
2.コンクリート厚さ測定器を使用する
コンクリートの厚さを測定する専門的な力を利用してコンクリートの厚みを測定します。隣の部屋の住民の協力も必要なく、上記の方法より正確な値を測定することが可能です。例えば下記のような測定器が使用されます。衝撃弾性波コンクリート厚さ計 CTG2

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⑥実際に騒音を測定する

上記までの方法はあくまでも建物構造による騒音リスクの評価ですが、実際に感じる騒音の大きさは周辺の状況によって大きく異なります。したがって最も確実であるのは部屋の中の騒音の大きさを実際に測定することです。具体的には部屋の中に騒音計と呼ばれる音のうるささを記録するための装置を一定期間設置し、実際に部屋の中でどの程度の音が観測されるかを測定し評価します。