都道府県や各自治体が公表している公的データ、実際に測定した騒音レベルデータをもとに、騒音リスクのある地域、逆に騒音がなく静かな地域を当社独自に分析しました。音環境・騒音は生活の質に大きな影響を与えます。マンションや戸建てに限らず、住まい探しの際の音環境(騒音リスク)を評価する参考にしてください。
①【東京都大田区版】の騒音リスクランキング(道路騒音)分析結果
■分析結果の要約
【騒音が多い地域】
・最も騒音基準値を超える割合が大きかった地域は大田区大森東1丁目〜大森中1丁目(大森町駅周辺・国道15号)で、約41%の付近住居において基準値を超えている。同じ国道15号沿いでは大森東1丁目・平和島駅周辺(35%)、大森中〜蒲田本町・京急蒲田駅周辺(32%)、大森東1丁目・平和島駅周辺(35%)と複数地点で高い超過率が連続しており、国道15号(第一京浜)が大田区の騒音リスクを最も広範囲にわたって押し上げている路線といえる。評価対象住居数も大森中〜蒲田本町区間で4,058戸と非常に多く、影響を受ける住民規模は区内最大級だ。
・環状8号線沿いでも西嶺町〜田園調布(田園調布駅周辺)で38%、西糀谷〜南蒲田(京急蒲田駅周辺)で32%と高い超過率が記録されており、国道15号と並ぶ主要騒音源となっている。評価対象住居数もそれぞれ2,749戸・3,987戸と多く、影響範囲の広さも際立っている。
・環状7号線沿いも大森東(32%)、南千束〜北千束(27%)、南馬込(26%)など複数地点で20%超の超過率が続いており、区内を南北に縦断する騒音リスク回廊を形成している。国道1号(荏原町・馬込駅周辺)でも27%が記録されており、上位10地点内に国道15号・環状8号線・環状7号線・国道1号・東京丸子横浜線と5路線が並ぶ。大田区は区内の複数幹線道路が同時多発的に騒音リスクを生んでいる点が特徴的だ。
【騒音が少ない静かな地域】
・一方、田園調布駅周辺(大田調布線・鵜の木〜田園調布)、下丸子駅周辺(大田調布線・多摩川)、蒲田〜新蒲田・蒲田本町エリア(環状8号線の内側区間)など7地点で基準超過率が0%であり、道路騒音の観点からは静かな住環境といえる。
・静穏地域に共通するのは、大田調布線や環状8号線の交通量が少ない区間など、幹線道路の直接的な影響を受けにくい路線・区間に面している点だ。同じ「環状8号線沿い」でも蒲田周辺の内側区間(NO.30〜34)では超過率0%となっており、路線名だけでなく具体的な区間・交通量を確認することが重要であることを示している。住まい選びにあたっては、国道15号・環状8号線(京急蒲田〜田園調布区間)・環状7号線・国道1号への近接を避けることが、静かな住環境の確保に直結する。
【基準値について】
今回の分析で用いた基準は、幹線道路近接の特例基準(昼間70dB以下・夜間65dB以下)。70dBは「掃除機の音」「電話の呼び出し音」に相当し、一般的に「かなりうるさい」とされるレベルである。
■【東京都大田区版】騒音リスク地域ランキング
| NO | 開始点住所 | 終了点住所 | 道路名/路線名 | 昼間・夜間いずれかで騒音基準超過率 | 評価対象 住居等 戸数 | |
| 1 | 大田区大森東1丁目3 | 大田区大森中1丁目2 | 大森町駅 | 一般国道15号 | 41% | 1596 |
| 2 | 大田区西嶺町20 | 大田区田園調布2丁目61 | 田園調布駅 | 環状8号線 | 38% | 2749 |
| 3 | 大田区大森東1丁目1 | 大田区大森東1丁目3 | 平和島駅 | 一般国道15号 | 35% | 1078 |
| 4 | 大田区大森中1丁目2 | 大田区蒲田本町2丁目33 | 京急蒲田駅 | 一般国道15号 | 32% | 4058 |
| 5 | 大田区大森東1丁目32 | 大田区大森東1丁目1 | 平和島駅 | 環状7号線 | 32% | 939 |
| 6 | 大田区西糀谷3丁目37 | 大田区南蒲田2丁目1 | 京急蒲田駅 | 環状8号線 | 32% | 3987 |
| 7 | 大田区上池台1丁目14 | 大田区田園調布本町50 | 御嶽山駅 | 東京丸子横浜線 | 28% | 4339 |
| 8 | 大田区北馬込2丁目54 | 大田区北馬込2丁目30 | 荏原町駅 / 馬込駅 | 一般国道1号 | 27% | 1064 |
| 9 | 大田区南千束1丁目1 | 大田区北千束1丁目1 | 北千束駅 / 大岡山駅 | 環状7号線 | 27% | 1911 |
| 10 | 大田区南馬込3丁目38 | 大田区南馬込1丁目1 | 馬込駅 | 環状7号線 | 26% | 2899 |
| 11 | 大田区大森東3丁目1 | 大田区大森東2丁目1 | 大森町駅 / 平和島駅 | 一般国道131号 | 21% | 1170 |
| 12 | 大田区蒲田本町2丁目33 | 大田区東六郷3丁目25 | 雑色駅 / 六郷土手駅 | 一般国道15号 | 21% | 2971 |
| 13 | 大田区中央2丁目2 | 大田区南馬込3丁目38 | 西馬込駅 | 環状7号線 | 19% | 700 |
| 14 | 大田区中馬込2丁目26 | 大田区上池台1丁目1 | 長原駅 | 環状7号線 | 18% | 3002 |
| 15 | 大田区大森西2丁目33 | 大田区中央2丁目2 | 大森駅 | 環状7号線 | 16% | 2426 |
| 16 | 大田区東糀谷1丁目22 | 大田区大森南1丁目24 | 昭和島駅 / 大森町駅 | 一般国道131号 | 13% | 890 |
| 17 | 大田区羽田旭町1 | 大田区羽田2丁目32 | 大鳥居駅 | 高速1号羽田線 | 12% | 1634 |
| 18 | 大田区羽田1丁目1 | 大田区東糀谷1丁目22 | 大鳥居駅 | 一般国道131号 | 12% | 794 |
| 19 | 大田区大森南1丁目24 | 大田区大森東3丁目1 | 大森町駅 | 一般国道131号 | 11% | 1676 |
| 20 | 大田区羽田5丁目5 | 大田区羽田1丁目1 | 穴守稲荷駅 | 一般国道131号 | 7% | 1715 |
| 21 | 大田区中馬込2丁目26 | 大田区多摩川1丁目14 | 矢口渡駅 | 一般国道1号 | 7% | 5506 |
| 22 | 大田区大森本町1丁目1 | 大田区大森東1丁目1 | 平和島駅 | 一般国道15号 | 5% | 3120 |
| 23 | 大田区多摩川1丁目14 | 大田区多摩川2丁目16 | 矢口渡駅 | 一般国道1号 | 3% | 1551 |
| 24 | 大田区山王1丁目11 | 大田区山王3丁目14 | 大森駅 | 東品川下丸子線 | 2% | 2568 |
| 25 | 大田区蒲田3丁目23 | 大田区蒲田3丁目18 | 京急蒲田駅 / 蒲田駅 | 大田調布線 | 1% | 871 |
| 26 | 大田区中央2丁目1 | 大田区千鳥3丁目18 | 千鳥町駅 / 下丸子駅 | 東品川下丸子線 | 1% | 5793 |
| 27 | 大田区新蒲田2丁目1 | 大田区矢口1丁目4 | 武蔵新田駅 | 環状8号線 | 1% | 1720 |
| 28 | 大田区鵜の木1丁目26 | 大田区田園調布5丁目56 | 田園調布駅 | 大田調布線 | 0% | 3122 |
| 29 | 大田区多摩川1丁目7 | 大田区下丸子3丁目13 | 下丸子駅 | 大田調布線 | 0% | 2238 |
| 30 | 大田区南蒲田2丁目1 | 大田区蒲田本町1丁目1 | 蒲田駅 / 京急蒲田駅 | 環状8号線 | 0% | 1213 |
| 31 | 大田区矢口1丁目4 | 大田区千鳥3丁目11 | 千鳥町駅 / 下丸子駅 | 環状8号線 | 0% | 1468 |
| 32 | 大田区蒲田3丁目18 | 大田区多摩川1丁目7 | 矢口渡駅 | 大田調布線 | 0% | 4519 |
| 33 | 大田区新蒲田1丁目1 | 大田区新蒲田2丁目1 | 蒲田駅 / 矢口渡駅 | 環状8号線 | 0% | 620 |
| 34 | 大田区蒲田本町1丁目1 | 大田区新蒲田1丁目1 | 蒲田駅 | 環状8号線 | 0% | 465 |
■分析方法、情報源
※自動車騒音常時監視2024をもとに分析。
②騒音の体感目安や基準値
騒音レベルはデシベル(db)という単位で示されます。それぞれの騒音レベルの体感値や、基準値は下記の通りです。
■騒音レベルと体感目安の対応
| 騒音レベル(dB) | 体感レベル | 具体例 |
|---|---|---|
| 20 dB | 非常に静か | 木の葉のふれあう音 |
| 30 dB | 静かな住宅地 | 深夜の郊外 |
| 40 dB | 静かな室内 | 図書館 |
| 50 dB | 普通の静けさ | 静かな事務所 |
| 60 dB | ややうるさい | 普通の会話 |
| 65 dB | 生活騒音レベル | 幹線道路沿い住宅 |
| 70 dB | かなりうるさい | 交通量の多い道路 |
| 75 dB | 強い騒音 | 幹線道路の歩道 |
| 80 dB | 非常にうるさい | 電車通過時 |
| 90 dB | 耳が疲れる | 工場・大型車 |
| 100 dB | 長時間は危険 | 電車ガード下 |
| 110 dB | 短時間でも危険 | クラクション |
| 120 dB | 痛みを感じる | ジェット機近距離 |
■環境基準
環境基準は、地域の類型及び時間の区分ごとに次表の基準値の欄に掲げるとおりとし、各類型を当てはめる地域は、都道府県知事(市の区域内の地域については、市長。)が指定する。
| 地域の類型 | 基準値 | |
|---|---|---|
| 昼間 | 夜間 | |
| AA | 50デシベル以下 | 40デシベル以下 |
| A及びB | 55デシベル以下 | 45デシベル以下 |
| C | 60デシベル以下 | 50デシベル以下 |
ただし、次表に掲げる地域に該当する地域(以下「道路に面する地域」という。)については、上表によらず次表の基準値の欄に掲げるとおりとする。
| 地域の区分 | 基準値 | |
|---|---|---|
| 昼間 | 夜間 | |
| A地域のうち2車線以上の車線を有する道路に面する地域 | 60デシベル以下 | 55デシベル以下 |
| B地域のうち2車線以上の車線を有する道路に面する地域及び C地域のうち車線を有する道路に面する地域 | 65デシベル以下 | 60デシベル以下 |
備考 車線とは、1縦列の自動車が安全かつ円滑に走行するために必要な一定の幅員を有する帯状の車道部分をいう。この場合において、幹線交通を担う道路に近接する空間については、上表にかかわらず、特例として次表の基準値の欄に掲げるとおりとする。
| 基準値 | |
|---|---|
| 昼間 | 夜間 |
| 70デシベル以下 | 65デシベル以下 |
| 備考 個別の住居等において騒音の影響を受けやすい面の窓を主として閉めた生活が営まれていると認められるときは、屋内へ透過する騒音に係る基準(昼間にあっては45デシベル以下、夜間にあっては40デシベル以下)によることができる。 | |
※出典:東京都環境局
③ 表に記載の騒音基準超過率が高い=その地域の住居がすべてうるさいわけではない
道路交通騒音の測定データは、地域の騒音環境を把握するうえで非常に参考になる情報です。しかし、表に掲載されている騒音レベルが高いからといって、その地域にあるすべての住居が必ずしも「うるさい」わけではありません。実際の住環境の騒音は、多くの要因によって大きく変化します。
日々騒音は変化する
道路交通騒音は常に一定ではありません。時間帯や曜日、交通量、天候などによって大きく変動します。例えば、
- 通勤時間帯は交通量が増えるため騒音が大きくなる
- 夜間は交通量が減り比較的静かになる
- 雨の日は路面とタイヤの摩擦音が大きくなる
など、同じ場所でも騒音環境は日々変化しています。今回示した測定データはあくまでのその測定期間のデータである点に留意が必要です。
騒音発生源から離れれば騒音値は下がる
騒音は、発生源から距離が離れるほど減衰します。例えば幹線道路の場合でも、
- 道路沿いの建物
- 一本奥に入った住宅
- さらに奥の住宅地
では、体感できる騒音レベルが大きく異なることがあります。また、
- 建物が遮音壁のような役割を果たす
- 高低差がある
- 周囲に別の建物がある
といった要素でも騒音は変化します。
同じ住所のマンションでも階数や窓の向きで大きく変わる
同じマンションでも、住戸によって騒音環境は大きく異なります。例えば次のような違いがあります。
窓の向き
- 道路側の住戸 → 騒音が入りやすい
- 中庭側の住戸 → 比較的静かなケースが多い
階数
- 低層階 → 車両音が聞こえやすい
- 高層階 → 交通音が遠くまで届くケースもある
このように、同じマンションでも住戸ごとに騒音環境は大きく異なります。
同じ部屋でも建物構造やサッシ性能で騒音は変わる
室内で聞こえる騒音は、建物の性能によっても大きく変化します。例えば次のような要素があります。
建物構造
- 鉄筋コンクリート造
- 鉄骨造
- 木造
窓サッシ
- 単板ガラス
- ペアガラス
- 防音サッシ
特に窓は騒音の侵入経路になりやすいため、サッシ性能によって体感騒音が大きく変わることがあります。
騒音問題は道路騒音だけではない
住まいの騒音問題は、道路交通騒音だけに限りません。例えば次のような騒音源もあります。
- 上階からの生活音
- 隣室からの音
- 鉄道騒音
- 航空機騒音
- 商業施設や店舗の音
- 工場・事業所の音
つまり、道路騒音のデータだけでは住まいの騒音環境を完全に判断することはできません。このように本記事でお示しした騒音はあくまでのその地域の騒音の一側面を表しているに過ぎないということです。
④ 騒音は個別性が高い問題だから、個別の住居での調査が有効
住まいの騒音問題の大きな特徴は、個別性が非常に高いことです。同じ地域でも
- 建物
- 住戸
- 階数
- 窓の向き
などによって、騒音環境は大きく変わります。そのため、騒音リスクを正確に把握するには「その住戸で実際に調査・評価すること」が最も確実です。このような課題・ニーズにこたえるため、当社では住まいの騒音リスク診断サービスを提供しています。
⑤ 住まいの騒音リスク評価なら当社にお任せください。無料でリスク評価いたします。
当社では、住まいの騒音リスクを重視した不動産選びをサポートしています。
一般的な不動産情報では、
- 価格
- 駅距離
- 築年数
などが中心ですが、「騒音環境」については十分に説明されないケースも少なくありません。
しかし実際には、騒音は住み心地を大きく左右する重要な要素です。当社では、騒音の専門家として、様々な観点から住まいの騒音リスクを評価するサービスを提供しています。
当社の騒音リスク評価の方法については>>こちらのページで説明しています(マンションの騒音リスクの調査方法)。
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