騒音リスクが低いマンション規約(管理規定)のチェックポイント
マンション選びにおいて、立地や間取り、価格と同じくらい重要なのが「騒音トラブルのリスク」です。しかし、多くの方が物件の設備や内装ばかりに目を向けてしまい、マンションの管理規約までしっかりと確認していないのが実情です。
実は、管理規約の内容次第で、そのマンションの騒音リスクは大きく変わってきます。厳格で具体的な規約があれば、住民の意識も高まり、トラブルを未然に防げる可能性が高まります。逆に、曖昧な規約しかない場合、いざトラブルが発生しても対処が難しくなります。
騒音問題におけるマンション管理規約の重要性
マンションの管理規約は、住民全員が守るべき「共同生活のルール」を定めたものです。この規約がしっかりしているかどうかで、快適なマンションライフが送れるかが決まると言っても過言ではありません。
騒音問題において管理規約が重要な理由は、以下の3点に集約されます。
騒音被害を受けた際、具体的な規約があれば、管理組合や管理会社に対して毅然とした対応を求めることができます。「規約に違反している」という明確な根拠があることで、改善要請がしやすくなります。
詳細な規約があるマンションは、それだけ騒音対策に力を入れているというメッセージになります。入居前に規約を確認することで、住民の騒音に対する意識が自然と高まり、予防効果が期待できます。
騒音トラブルが頻発するマンションは、口コミなどで評判が広がり、資産価値の低下につながります。厳格な規約によってトラブルを防ぐことは、長期的な資産価値の維持にも貢献します。
マンション管理規約8つのチェックポイント
それでは、具体的にどのような点をチェックすればよいのでしょうか。以下、8つのポイントを詳しく解説していきます。
①そもそも騒音についての記載があるか
【解説】
驚くことに、一部のマンションでは管理規約に「騒音」という言葉すら登場しないケースがあります。騒音に関する記載がないということは、管理組合が騒音問題を重要視していない可能性があり、トラブル発生時に十分な対応が期待できません。
最低限、「騒音を発生させないよう配慮すること」といった基本的な記載があるかを確認しましょう。この記載がない場合は、要注意です。
第○条(騒音の防止)
区分所有者及び居住者は、他の居住者の生活に支障を及ぼす騒音を発生させないよう、常に配慮しなければならない。
②抽象的な「迷惑行為禁止」にとどまっていないか
【解説】
多くのマンション規約には「迷惑行為の禁止」という条項がありますが、これだけでは不十分です。「迷惑」の定義は人によって異なるため、トラブルの際に「これは迷惑にあたるのか、あたらないのか」という解釈の問題が生じます。
優れた管理規約は、単に「迷惑行為禁止」と書くだけでなく、騒音を独立した項目として具体的に規定しています。
第○条(迷惑行為の禁止)
区分所有者は、他の居住者に迷惑となる行為をしてはならない。
第○条(迷惑行為の禁止)
区分所有者は、以下の行為を含む他の居住者に迷惑となる行為をしてはならない。
(1) 過度な騒音を発生させる行為
(2) 悪臭を発生させる行為
(3) 共用部分を私的に占有する行為
※さらに別条で騒音について詳細に規定
抽象的な表現にとどまらず、騒音が明確に禁止事項として列挙されているかをチェックしましょう。
③注意すべき時間が明記されているか
【解説】
「夜間は静かにしましょう」という記載だけでは不十分です。「夜間」が何時から何時までを指すのか明確でなければ、住民によって解釈が異なり、トラブルの原因になります。
優れた規約では、「22時から翌朝7時まで」など、具体的な時間帯が明記されています。この時間帯は、生活音に特に注意すべき「静穏時間」として設定されるべきです。
第○条(生活騒音の制限)
区分所有者及び居住者は、午後10時から翌朝午前7時までの間(以下「静穏時間」という)は、特に生活音に配慮し、洗濯機、掃除機、テレビ、オーディオ機器等の使用を控えるか、音量を最小限にしなければならない。
④具体的な制限行為が記載されているか
【解説】
「騒音を出してはいけない」という規定だけでは、何が騒音にあたるのか曖昧です。実際に問題となりやすい具体的な行為が列挙されていることが重要です。
特に注目すべき制限行為には以下のようなものがあります。
- 楽器演奏(ピアノ、ギター、管楽器など)
- 床をたたく、飛び跳ねる、走り回る行為
- 深夜・早朝の洗濯機、掃除機の使用
- 大音量でのテレビ・オーディオ機器の使用
- ペットの鳴き声
- DIY作業や工具の使用
第○条(禁止される騒音行為)
区分所有者及び居住者は、以下の行為を行ってはならない。ただし、管理組合の事前承認を得た場合はこの限りではない。
(1) 午後9時から翌朝午前8時までの間の楽器演奏(電子ピアノを含む)
(2) 午後10時から翌朝午前7時までの間の洗濯機、掃除機、その他家電製品の使用で、階下や隣戸に騒音を及ぼすもの
(3) 床面を強く踏み鳴らす行為、飛び跳ねる行為、重量物を落下させる行為
(4) テレビ、ステレオ等のオーディオ機器を、隣戸に音が漏れる音量で使用すること
(5) 電動工具を使用する日曜大工等の作業(事前届出がある場合を除く)
このように具体的に列挙されていれば、「何がOKで何がNGか」が明確になり、トラブルを未然に防ぐことができます。
⑤共用部での制限行為も規定されているか
【解説】
騒音は専有部分(各住戸内)だけでなく、共用部分でも問題になります。エントランス、廊下、エレベーター、駐車場などでの騒音についても、きちんと規定されているかを確認しましょう。
特に駐車場での車のドア開閉音、エンジン音、深夜のアイドリングなどは、近隣トラブルの原因になりやすい事項です。
第○条(駐車場での遵守事項)
(1) 駐車場内においては、騒音防止に努め、安全のため時速10km以内の低速で運転しなければならない。
(2) 午後10時から翌朝午前7時までの間は、不要なアイドリング、空ぶかし、急発進、ドアの強い開閉等、騒音を発生させる行為を慎まなければならない。
(3) 駐車場内での洗車、車両整備は原則として禁止する。
第○条(共用部分の使用)
エントランスホール、廊下、階段等の共用部分において、大声での会話、走行、物を引きずる等の騒音を発生させる行為は慎まなければならない。
共用部での規定が曖昧だと、エントランスでの深夜の立ち話、廊下で子供が走り回る音などが野放しになってしまいます。
⑥民泊は制限されているか
【解説】
住宅宿泊事業法(いわゆる民泊新法)の施行以降、マンションの一室を民泊として利用するケースが増えています。民泊利用者は短期滞在者であるため、マンションのルールを十分理解しておらず、深夜の騒音トラブルの原因になりやすい傾向があります。
また、不特定多数の人が出入りすることで、セキュリティ面でも懸念が生じます。騒音リスクを低減するためには、民泊が明確に禁止されている、あるいは厳格な制限がある管理規約が望ましいです。
第12条の3(民泊の禁止)
区分所有者は、その専有部分を住宅宿泊事業法(平成29年法律第65号、以下「民泊法」という)第3条第1項の届出を行って営む同法第2条第3項の住宅宿泊事業に使用してはならない。
民泊を許可している場合でも、「宿泊者に対して騒音防止の注意喚起を行う義務」「苦情があった場合の営業停止措置」などが規定されていれば、一定の歯止めになります。
⑦防音設備への配慮が行われているか
【解説】
騒音対策は、マナーやルールだけでなく、建物の設備面でも重要です。特にリフォームやリノベーションで床材を変更する際の遮音性能について、具体的な基準が設けられているかをチェックしましょう。
フローリング材の遮音等級は「LL」という単位で表され、数値が小さいほど遮音性能が高くなります。一般的に、LL-45以上の性能が求められることが多いです。
第5条(フローリング材料と改造工法等に関する制約)
組合員はフローリング等改造を実施する場合、近隣住居に騒音等の影響を及ぼさないようフローリング材の遮音性能と床構造は、次に定める材料と工法でこれを行わなければならない。
(1) フローリング材遮音性能は遮音等級LL-45(日本建築学会の示す遮音等級)性能以上(数値が小さい方が好ましい)を有すること。
(2) フローリング改造工事に当たっては、床下空間部に吸音材等を敷設し、かつ捨て張り材とパーチクルボードの間に遮音マットを布設すること。
(3) 工事実施前に、使用する材料の遮音性能を証明する資料を管理組合に提出し、承認を得なければならない。
また、リフォーム工事そのものについても、工事時間の制限(平日9時〜17時まで、日曜祝日は禁止など)が規定されているかも重要なポイントです。
⑧違反者への(勧告・指示・警告)規定があるか
【解説】
どんなに詳細な規約があっても、違反者に対する措置が明確でなければ、実効性がありません。騒音トラブルが発生した際に、管理組合がどのような手順で対処するのか、段階的な措置が規定されているかを確認しましょう。
一般的な流れは、「注意・勧告 → 警告 → 是正命令 → 理事会での審議 → 使用禁止や明け渡し請求」といった段階を踏むことになります。
第○条(違反者に対する措置)
(1) 区分所有者又は居住者がこの規約に違反したとき、理事長は、理事会の決議を経て、その行為の差し止め、排除又は原状回復のため必要な勧告又は指示若しくは警告を行うことができる。
(2) 前項の勧告、指示又は警告に従わないときは、理事長は、理事会の決議を経て、文書をもって一定の期間内に必要な措置を講ずべきことを催告することができる。
(3) 第2項の催告に対し、指定された期間内に必要な措置が講じられないときは、理事長は、理事会の決議を経て、当該行為者に対し、専有部分の使用禁止を請求することができる。
(4) 前3項の措置によっても改善が見られない場合、管理組合は、当該区分所有者に対し、区分所有法第57条から第60条の規定に基づく措置(専有部分の使用禁止請求、区分所有権及び敷地利用権の競売請求等)を講ずることができる。
また、違反行為に対して「過料(罰金)」を課すことができる旨が規定されているマンションもあります。
第○条(過料)
区分所有者又は居住者が、この規約及び使用細則に違反したとき、又は理事会の勧告、指示若しくは警告に従わなかったときは、理事会の決議により、違反1回につき金5万円以下の過料に処することができる。
こうした段階的かつ具体的な措置規定があることで、管理組合は毅然とした対応ができ、悪質な騒音問題にも対処できる体制が整います。
まとめ:管理規約は必ず内見時に確認を
マンション選びの際、管理規約は後回しにされがちですが、騒音リスクを見極める上で非常に重要な資料です。上記8つのチェックポイントを念頭に置き、物件の内見時には必ず管理規約を確認しましょう。
- 内覧時に不動産会社に管理規約のコピーを依頼
- 購入を本格的に検討する前に必ず目を通す
- 不明点は管理会社や管理組合に直接問い合わせる
また、管理規約だけでなく、「使用細則」や「リフォーム規定」など、関連する規定も合わせて確認することをお勧めします。これらの書類には、より詳細な生活ルールが記載されていることがあります。
快適なマンションライフを送るためには、建物のスペックだけでなく、「どんなルールで運営されているか」も重要です。面倒でも事前にしっかりと確認し、後悔のない物件選びをしましょう。
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