住宅性能表示制度の音環境性能を確認すればマンションの騒音リスクが評価できる
住宅性能表示制度は、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づき、耐震性、省エネ性、耐久性など10分野の住宅性能を共通の基準(等級)で客観的に評価し表示する制度で、その中には「音環境性能」として騒音に関連する性能評価項目があります。このページでは、騒音を気にされる方向けに、住宅性能表示制度の評価項目から騒音リスクを読み解く方法を解説いたします。
3つの騒音タイプと性能評価
住宅性能表示制度では、共同住宅の音環境を3つの視点から評価します。それぞれの特性を理解することが、快適な住まい選びの第一歩です。
①重量床衝撃音対策
子どもが走り回る音、大人の足音など、比較的質量が大きく軟らかいものによる床への衝撃音。「ドスドス」「ドタドタ」という低い音が特徴です。
| 等級 | 性能 | JIS等級目安 |
|---|---|---|
| 等級5 | 特に優れた遮断性能 | Lr,H-50相当以上 |
| 等級4 | 優れた遮断性能 | Lr,H-55相当以上 |
| 等級3 | 基本的な遮断性能 | Lr,H-60相当以上 |
| 等級2 | やや低い遮断性能 | Lr,H-65相当以上 |
| 等級1 | その他 | – |
■ 生活実感との対応イメージ
床の厚さだけでなく、端部の取り付け方や床仕上げ材の種類によっても性能は変化します。「相当スラブ厚」が同じでも、他の条件により遮断性能が異なる場合があります。
②軽量床衝撃音対策
椅子の移動音、食器や硬貨の落下音など、比較的質量が小さく硬いものが床に落下した際の衝撃音。「カツカツ」「コツコツ」という高い音が特徴です。
| 等級 | 性能 | JIS等級目安 |
|---|---|---|
| 等級5 | 特に優れた遮断性能 | Lr,L-45相当以上 |
| 等級4 | 優れた遮断性能 | Lr,L-50相当以上 |
| 等級3 | 基本的な遮断性能 | Lr,L-55相当以上 |
| 等級2 | やや低い遮断性能 | Lr,L-60相当以上 |
| 等級1 | その他 | – |
■ 生活実感との対応イメージ
軽量床衝撃音は床仕上げ材の選択が特に重要です。カーペットやクッションフロアなど、軟らかい材料を使用することで大きく改善できます。重量床衝撃音に有効な対策が、必ずしも軽量床衝撃音に有効とは限りません。
③空気伝搬音対策(界壁・外壁開口部)
話し声、テレビの音、道路交通騒音など、空気を伝わって届く音。隣戸からの生活音や、外部からの騒音が該当します。
界壁(隣戸との壁)の性能
| 等級 | 性能 | JIS等級 |
|---|---|---|
| 等級4 | 特に優れた遮断性能 | Rr-55相当以上 |
| 等級3 | 優れた遮断性能 | Rr-50相当以上 |
| 等級2 | 基本的な遮断性能 | Rr-45相当以上 |
| 等級1 | 建築基準法の基準 | Rr-40相当 |
外壁開口部(窓・サッシ)の性能
| 等級 | 性能 | JIS等級 |
|---|---|---|
| 等級3 | 特に優れた遮断性能 | Rr(1/3)-25相当以上 |
| 等級2 | 優れた遮断性能 | Rr(1/3)-20相当以上 |
| 等級1 | 等級2に満たない | – |
■ 界壁の生活実感イメージ(D等級換算)
外壁開口部の性能は、立地環境によってニーズが大きく異なります。幹線道路沿いや商業地域では高性能サッシが必要ですが、閑静な住宅地では通常のサッシで十分な場合も。過度な遮音性能は室内音が気になる原因にもなります。
評価の限界と実際の住環境
住宅性能表示制度による評価は、あくまで設計段階での予測値です。実際の住環境との違いを理解することが重要です。
特定条件下での評価
音の反射・干渉・共鳴などの複雑な現象を完全に予測することは困難なため、理想的な条件下での性能を表示しています。
施工精度の影響
設計図書通りの性能を発揮するには、施工精度が重要です。隙間やコンセントボックスなどの施工誤差が性能に影響します。
個人差の存在
騒音に対する感じ方には個人差があります。表示される数値はあくまで目安として考え、実際に現地を確認することをお勧めします。
給排水設備やエレベーターからの音、扉・サッシの開閉音(固体音)、上下階からの話し声などは、予測や対策効果の定量化が難しいため評価対象外です。これらの音も快適性に影響する可能性があることを認識しておきましょう。
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